退職します。

10年前の2000年4月、
不安と歓喜の混じった思いで迎えた入社式で、

いつかは来るこの時を、
朧気ながら想像してはいた。


日本を代表し、世界的にも名の通った、素晴らしい場所。


僕の中では、唯一無二の存在でもある。

同業他社に行くことは、微塵も思ったことはない。


その枠を、ついに飛び出す決意をし、
新しい世界へ踏み出し、
そこで戦う決断をしました。

2009年3月末、
ついに、このホテルを去る時を迎えます。


今は、会社への感謝の気持ちで溢れています。

今時、会社に対して
こんな思いになる人がどれだけいるか、わからないけど、
心から、感謝の意を表したい。


思い返せば、就職活動をした1999年は、
大卒就職率が60%代と言う、
就職超氷河期の真っ只中でした。

僕も、4年生の夏を過ぎても決まっていませんでした。

そんな状況で偶然目にした、今の会社の追加募集。

契約社員枠ではあったものの、直ぐに応募し、
運良く採用になりました。

採用の連絡を頂いたのは、
世間が内定式を行う10月1日。

あの時の喜びは、人生で最高級の感動で、
一生忘れない大切な出来事です。


回りに何も無い大海を当てもなく溺れていたような中、
運良く通りかかった大きな船に救われた、
そんな感覚でもありました。


以来、約10年間、
その船のクルーとして、
色々な経験と勉強をしながら、ここまで来れた。


その船は、最近荒波に揺らされ、
強烈な逆風の中を進んでいます。


その船を何とかして助けたい思いがある一方、
自分がもっと大きな貢献ができる、別の船があることを知りました。


その船は、小さいながら、
また別の、他の船を助ける仕事をしています。


今度は、100年に1度と言われる巨大な嵐の中、
また僕は、運良く通りかかった船に出会い、
新しい場所に行くことにしました。


外の世界で活躍し、
最初に救われた今の船に、いつか、恩返しができるように、
抱いた感謝と、誇りと、愛情とを忘れずに、
これからも生きて行きます。


今まで、ありがとうございました。

そして自分は、
新しい世界で必ず活躍することを誓い、
受けた恩を返しに来ます。

本当に、ありがとうございました。

そして、この言葉を、
いつまでも忘れません。


『I Love Okura.』